一人で新規事業を行うということは、圧倒的な機動力と経営資源の抑制というメリットを企業にもたらします。しかし、担当者にとっては、リソース不足と全責任を負う重圧を意味します。
この記事では、この「一人担当制」の新規事業を成功させるため、限られたリソースや組織の力を引き出す戦略的なポイントを解説します。
結論、一人で新規事業を行うことは可能です。
特に社内新規事業では、限られたリソースの中で機動力とスピード感を持って動けるのが強みになります。ただし、すべての業務を担うため、リソース管理が鍵です。企画、開発、営業、経理を一人で回すには、外部リソース(ツールや外注)を積極的に活用し、「すべて自分でやろう」という考えを捨てる意識が必要です。
一人体制は、組織内の稟議や承認プロセスが少なくなるため、早い段階で市場や顧客の変化に対応できます。アイデアを思いついたら、すぐに実行に移し、結果を見て方向転換することが可能です。
このアジャイル(俊敏)な運営は、特に不確実性の高い新規事業の立ち上げの強みとなります。競合他社の一歩先を行く、柔軟な事業展開が可能となります。
人件費や大規模なオフィス費用といった固定費を抑えられるため、少ない資金で事業を始められます。自宅を拠点とし、必要な業務は外部ツールや安価なフリーランスを活用することで、初期のリスクを大幅に軽減できます。
また、固定費が低く、黒字化までのハードルが下がるため、利益率が高くなり、事業への再投資や自己資金の増加を早期に実現しやすいのが魅力です。
事業の方向性、働く時間や場所、進め方といった全てを自分の裁量で決められる自由があります。会社のルールや上司の意向に縛られることなく、自身の価値観やビジョンに100%合致した事業運営が可能です。
この高い自律性は、仕事へのモチベーション維持に繋がり、プライベートとの両立(ワークライフバランス)や、パフォーマンスを発揮できる環境構築に役立ちます。
企画立案から開発、営業、経理、広報、そして雑務に至るまで、全ての業務を自分一人で完結させる必要があります。
これにより、長時間労働やキャパシティオーバーに陥りやすく、心身ともに疲弊するリスクが高まります。特に苦手な分野の業務も避けて通れないため、作業効率が低下しがちです。また、事業が失敗した場合も、その全ての責任を一人で負う精神的な負担は非常に大きくなります。
一人で事業を進めることは、自分自身のスキルや経験の範囲内でしか判断ができないことを意味します。チームメンバーがいれば得られるはずの、多様な視点や批判的な意見が入ってこないため、アイデアや戦略が停滞したり、致命的な見落としが発生したりするリスクがあります。
市場のニーズと自己満足の区別がつきにくくなり、独りよがりの事業になってしまう危険性も高まります。
起業初期は収益が不安定になりがちですが、一人事業では収入源が一つしかないため、生活資金を含めた資金繰りのプレッシャーが非常に大きくなります。また、成功や失敗、日々の悩みを共有する相手がいないため、精神的な孤独を感じやすい環境です。
特に困難に直面した際に相談や協力を仰げないことが、事業の撤退・挫折につながる大きなデメリットとなります。
時間、予算、そして自身のエネルギーという限られたリソースを適切に配分することが成功の鍵です。
全ての業務を自分で抱え込まず、収益に直結するコア業務に集中するため、非コア業務は積極的に外部ツールやアウトソーシング(外注)を活用しましょう。また、事業計画に基づき、撤退基準や次のアクションを明確に設定し、無駄な時間やコストが発生する前に迅速に判断できる体制を整えます。
一人で立ち上げる場合でも、「孤立」してはいけません。
社内新規事業の場合、他部署の知識や人脈は貴重なリソースです。既存事業の顧客データや営業ルート、技術的な知見など、必要な協力を遠慮なく要請しましょう。協力してもらいやすいよう、相手にとってのメリットや貢献度を明確に伝え、日頃から良好な人間関係を構築し、味方を増やしておくことが成功確率を高めます。
一人での事業推進は孤独になりやすく、特に失敗が続くとモチベーションを保つのが難しくなります。このため、「なぜこの事業をやるのか」という目的を常に再確認し、小さな目標の達成を積み重ねて自己肯定感を高めましょう。
また、外部のメンターやコミュニティを持つことで、客観的な意見や共感を得られる場を確保し、心身の健康を管理しながら粘り強く事業を推進する仕組み作りが重要です。
一人で新規事業を行うことは、機動力と自由度という大きなメリットがある一方、リソース不足と孤独という課題も伴います。
成功の鍵は、「全てを一人でやろう」とせず、外部リソースを活用し、他部署の協力を仰ぐことです。そして、目的を明確にし、モチベーションを維持しながら、スピード感を持って粘り強く事業を推進することが、重要となります。
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